
AIで「怒り顔」を作った筈なのに、いまいち伝わらない。
実はその違和感、感情を伝える視覚的なスパイス=漫符が足りていないからかもしれません。
💢や💦などの記号は、読者にキャラの気持ちを一瞬で伝える漫画ならではの表現です。
この記事では、初心者の方でもAI漫画にすぐ取り入れられる「漫符」の種類と使い方を、実例つきでわかりやすく解説します。
あなたの漫画に、あとひと味加えてみませんか?
漫符(まんぷ)とは?漫画表現の中の重要な記号
漫画を漫画らしく見せているのは、セリフやコマ割りだけではありません。読者の目を引き、キャラの気持ちや雰囲気を一瞬で伝える「視覚的な記号」が、大きな役割を果たします。
そのひとつが「漫符(まんぷ)」と呼ばれるもの。この記事では、この漫符が何か、どんな場面でどう使えるのかを初心者向けにわかりやすく紹介していきます。
漫符の定義と役割
漫画を読んでいて、キャラクターの頭の上に「💦」や「💢」が付いているのを見たことはありませんか?こうした記号のことを「漫符(まんぷ)」と呼びます。キャラの感情や状況を、言葉がなくてもパッと一目で伝えてくれる、漫画ならではの便利な記号です。
漫符という言葉の由来と初出
「漫符」という名前が登場したのは、1990年代の漫画教本『サルでも描けるまんが教室』(相原コージ・竹熊健太郎)がきっかけです(出典:Wikipedia「漫符」 https://ja.wikipedia.org/wiki/漫符)。ただ、実際にはもっと昔から似たような表現が使われていて、日本の漫画文化の中で自然に発展してきました。
海外表現との違いと日本文化としての進化
海外のコミックでも記号的な表現はありますが、日本の漫画ほど細かく感情を描き分ける文化はあまり見られません。漫符は、日本独自の「感情の視覚化」として進化してきたのです。実際、Google Arts & Cultureでも、日本の漫画表現における視覚記号として紹介されています
(参考:https://artsandculture.google.com/story/EAWB4YvyVDqJJQ?hl=ja)。
よく使われる代表的な漫符7選と意味

汗マーク(💦):焦り・困惑
キャラの顔や頭の横にちょこんと付けることで、緊張していたり、困っている感じを出せます。
怒りマーク(💢):怒り・イラ立ち
おなじみの「💢」マーク。こめかみに付ければ、キャラが怒っていることがすぐに伝わります。
赤面線:照れ・恥ずかしさ
頬が赤く染まったり、斜めの線が入っているのを見たら、それはキャラが照れている証拠です。
縦線・青ざめ:不安・ショック・動揺
顔全体に縦線がズーンと入っているときは、大きなショックや不安を抱えている場面。
湯気:怒りのピーク状態
頭から湯気が出ているような表現は、怒りがMAXなときによく使われます。
電球マーク:ひらめき・アイデア
キャラの頭の上に電球が出たら、「いいこと思いついた!」というシーンです。
くるくる目:混乱・気絶・めまい
目の中がぐるぐる回っているときは、キャラが混乱しているか、倒れそうな状態です。
AI漫画に漫符を取り入れる方法
ChatGPTなどの画像生成ツールでは、日本語でのプロンプト入力も有効です。たとえば、次のような指示を試してみてください。
- 汗マークをつける →「キャラクターの顔に汗の記号を描く」
- 怒りマークをつける →「キャラクターのこめかみに怒りマーク(💢)を追加」
- 頬を赤くする →「キャラクターの頬に斜線の赤面表現を加える」
- 縦線を入れる →「キャラクターの顔全体に縦線を描き、不安な表情を強調」
- 湯気を描く →「キャラクターの頭から湯気を立ち上らせる」
- 電球マークを描く →「キャラクターの頭上に電球マークを浮かべる」
やりかた
- 対象となる元画像をChatGPTにアップする
- プロンプトで指示する
すると以下のような画像が生成されます。

プロンプトは日本語でも十分効果がありますが、ツールによっては細かなニュアンスを調整するために工夫が必要です。うまくいかない場合は、後から画像編集で微調整するのがおすすめです。
たとえば「怒り」や「汗」は比較的うまく反映されますが、以下のような失敗例もあります。
- 怒りマーク(💢)を指示したのに、頬のあたりに出てしまい不自然に見えることがある。
- 汗マーク(💦)が小さすぎて目立たない場合がある。
- 縦線(青ざめ)を入れたら、線が薄すぎてほとんど見えなかったことも。
こうしたときはプロンプトの細かい調整や、後からの画像編集で微調整するのがおすすめです。
画像編集ソフトで後から加える方法
私自身は、CLIP STUDIO PAINT(クリスタ)を使って漫符をよく追加しています。なぜなら物足りなさは後から感じることが多いからです。
AIで生成した画像に手描きで描き込んだり、ブラシ素材を活用したりすると、自然な仕上がりになります。
クリスタに慣れている方なら自由度が高く、細かな調整も可能です。また、CanvaやPhotopeaといったツールでも、PNG素材を重ねる方法で十分対応できます。後からの追加は最も確実で、仕上がりを自分でコントロールしやすい方法です。
フリー素材やテンプレートを活用する方法
「漫符 フリー素材」などで検索すると、たくさんの使える素材が見つかります。特に、以下のようなサイトは素材数も豊富で商用利用も可能なものが多く、AI漫画との相性も良いです。
このサイトからPNG形式の漫符をダウンロードして、AI画像に重ねるだけで簡単に漫画らしさを出すことができます。特に背景が透明な素材を選ぶと、画像編集もスムーズです。
初心者が気をつけたい漫符の使い方のコツ
※関連記事:
- スピード線とは?動きを伝える演出テクニック(動きのある表現を学びたい方に)
- AI漫画は表情が命!キャラが生きる表情セットの作り方(漫符との組み合わせにもおすすめ)
- 三面図は必要?ChatGPTでAI漫画を作るなら知っておきたいこと(表情や角度の整合性を保つために)
漫符を入れすぎない
いろんな感情を伝えたくて、漫符をたくさん入れたくなる気持ちはわかります。でも、やりすぎると逆に見づらくなってしまうことも。1コマに1つくらいが目安です。
感情と漫符の整合性を意識する
キャラの表情と漫符が合っていないと、違和感が出てしまいます。たとえば真顔なのに💢マークが出ていたら、「本当に怒ってるの?」と読者が戸惑ってしまいます。
絵柄や作品トーンとのバランスを取る
ギャグ漫画なら派手な漫符をたくさん使ってもOK。でも、落ち着いた雰囲気の作品では、少なめにした方が自然です。作品の空気に合わせて調整してみてください。
まとめ
漫符(まんぷ)は、漫画ならではの感情を伝える視覚記号として、初心者でもすぐに取り入れられる強力な表現テクニックです。
この記事では、代表的な漫符7選や、AI画像への取り入れ方、素材サイトの紹介、使い方のコツまでをひと通り解説しました。
特に、キャラクターの表情や感情に合わせて使うことで、読者により深く気持ちを伝えられるようになります。
初めての方でも、素材を重ねたり手書きで描いたりするだけで、作品の漫画っぽさが一気にアップします。ぜひ、次のAI漫画制作から試してみてください。
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