テキストプロンプトだけで構図を操るのにも慣れてきたけど、「もっと複雑なポーズをさせたい」「あの映画みたいな雰囲気の絵が作りたい」…そう感じていませんか?
「え、テキストプロンプトだけで構図を操るって、どういうこと?」 と思った方は、まずはこちらの【初心者編】の記事から読むのがおすすめです。この記事では、その基本を詳しく解説しています。

言葉だけでその全てを伝えるのは、さすがに骨が折れますよね。でも、大丈夫です。そんな時に使えるのが、今回のテーマである「画像参照テクニック」なんです。
この記事では、その基本的な使い方から、多くの人が陥りがちな構図の失敗例、そして知っておくだけで絵が安定する基礎理論まで、あなたのイラストをもう一段階レベルアップさせるための知識を詰め込みました。
センスに頼らず、ロジックで「エモい絵」を作る。そんな新しいステージへ、一緒に進んでいきましょう。
【原因と対策】初心者が構図で損をする3つの理由
さて、具体的なテクニックに入る前に、まずは多くの初心者が無意識にやってしまいがちな「もったいない構図」を3つ見ていきましょう。これを知るだけで、あなたの絵は一気に「素人っぽさ」から抜け出せますよ。
① 画面のど真ん中に置くだけの「日の丸構図」
キャラクターを目立たせたいあまり、常に画面の中央に配置してしまうパターンです。AIに任せっきりにすると、ついついこの構図になりがちですよね。安定はしますが、毎回これだと絵に動きがなく、物語性も失われてしまいます。

② 情報が多すぎ「ごちゃごちゃ構図」と少なすぎ「スカスカ構図」
背景を頑張って描き込みすぎて、主役のキャラクターが埋もれてしまうのが「ごちゃごちゃ構図」です。逆に背景が何もなく、キャラクターが浮いて見えるのが「スカスカ構図」。どちらも、見る人に伝えたいことが不明確になってしまいます。


③ 視線が定まらない「画面端の処理」
イラストの「額縁」である四隅や画面の端の処理は、意外と絵の印象を左右します。ここに物が中途半端に切れていると、見る人の視線が定まらず、落ち着かない印象の絵になってしまいます。
【理論編】センスに頼らず絵を安定させる2つの構図法
失敗例を理解した上で、次にそれを解決するためのシンプルな「理論」をインプットしましょう。難しい話はしません。「これだけ知っておけば大丈夫」という、すぐに使えて効果絶大な2つの基本ルールです。
① 基本中の基本「三分割法」

これは最も有名で、最も強力な構図法です。画面を縦横にそれぞれ三分割する線をイメージしてください。その線が交わる4つの点のいずれかに、見せたいものを配置するだけで、驚くほどバランスの取れた絵になります。
② 視線をスムーズに導く「対角線と三角構図」

対角線を意識した配置は、絵にダイナミックな動きや奥行きを生みます。また、人物や物を三角形の形に配置する三角構図は、見た人に安定感と重厚感を与えます。アクションなら対角線、静かなシーンなら三角構図、と使い分けるのがおすすめです。
【実践編】参照画像で構図を操る3つの基本アングル
理論を学んだら、いよいよ実践です。ここでは参照画像を使い、様々なシーンで応用できる構図テクニックを、具体的なプロンプト例と共に紹介します。
① アイレベル(目の高さ)- 日常的で安定した構図
キャラクターと同じ目線の高さで描く、最も自然な構図です。日常や会話シーンなど、見る人がその場にいるような感覚を表現したい時に最適です。
- プロンプト例:「このカフェの写真の雰囲気を参考に、私のオリジナルキャラクター二人がテーブルを挟んで会話しているイラストを、アイレベルの構図で生成してください。」

さらにChatGPTのチャット欄に、無料素材のカフェの写真とオリジナルキャラ二人を追加します。

背景については以下の記事も参考にしてください。

② ローアングル(アオリ)- 迫力と威厳を生む構図
下から見上げるアングルで、キャラクターの威厳や建物の巨大さ、非日常的な迫力を表現できます。ヒーローのような力強さや、見る人を圧倒するようなシーンで効果的です。

テキストプロンプト: 「この高層ビルの写真の構図を参考に、自作のキャラクターが空を見上げている姿を、ローアングルの構図で力強く描いてください。」

③ ハイアングル(俯瞰)- 状況を客観的に見せる構図
上から見下ろすアングルは、キャラクターの孤独感を表現したり、全体の状況を説明したりするのに適しています。
今回はプロンプトとキャラの一枚絵から作成しました。
- プロンプト例:真上からの俯瞰構図で、学校の屋外階段をゆっくりと昇るキャラクター。カメラ位置はキャラの頭上で、階段を見下ろす視点。コンクリートの階段には金属の手すりとフェンスがあり、背景には広がる校庭と体育館が見える。昼間の自然光で、手すりやフェンスの影がくっきりと地面に落ちている。アニメ風で遠近感を強調した構図。

【ケーススタディ】この写真が「物語」に変わる3つの実例
これまでの知識を総動員し、複数のケーススタディで実践例を見ていきましょう。一枚の何気ない写真が、AIとプロンプトの力でどのように物語性あふれるイラストに生まれ変わるのか、その過程を追体験してみてください。
ケース1:静かな図書館(屋内・一人)
参照する写真

登場させたいキャラクター: 「眼鏡をかけた、本好きな少女」
プロンプトの組み立て例: 「この図書館の写真の、奥へと続く構図と光の当たり方を参考にして、『眼鏡をかけた文学少女』が本棚の間で熱心に本を探しているイラストを生成してください。少し猫背気味で、夢中になっている様子でお願いします。」

ケース2:対峙する二人(緊張感)
参照する画像

登場させたいキャラクター: 自作のオリジナルキャラクターAとB(ライバル関係)
プロンプトの組み立て例: 「この二人が対峙している写真の、緊張感ある構図とアングルを参考にして、私のオリジナルキャラクターAとBが、互いに真剣な表情で睨み合っているシーンを描いてください。」

生成されるイラストのイメージ: 元の写真が持つ一触即発の雰囲気を拝借し、自分のキャラクターで迫力のある対決シーンを創り出すことができます。今にも二人の物語が動き出しそうな、そんな一枚になります
まとめ
今回は、AIイラストの表現力を飛躍させるための、構図に関する考え方とテクニックをご紹介しました。
- 構図でよくある失敗パターンを理解し、それを避ける意識を持つ。
- 三分割法などの基本的な理論を押さえることで、絵に安定感が生まれる。
- 参照画像と的確なプロンプトを組み合わせることで、狙った通りの「エモい絵」が作れるようになる。
これらの知識とテクニックは、あなたの創作活動の強力な武器となるはずです。ぜひ、色々な構図に挑戦してみてください。
より詳しい情報や、今回の記事の前提となる知識については、以下の関連記事もぜひご覧ください。
クオリティの高い一枚絵が作れるようになったら、次はいよいよ、それらを組み合わせて「漫画」という形にしてみましょう。コマ割りやフキダシ、そして物語の作り方について、以下の記事で詳しく解説しています。
コメント