※本記事は、以前公開した「秘伝の固定プロンプト」の改訂版です。生成品質をさらに高めるための改良点と、より実践的な新TIPSを追加しました。
以前の記事で紹介したプロンプトですが、生成を続けていると画像の粗さが目立つことがありました。特にモノクロ漫画は、安定したクオリティを保ち続けるのが難しく、私自身も日々試行錯誤を続けています。
私が目指しているのは、AI特有の「きれいすぎる」CGのような質感ではなく、人の手で描いたような温かみのある画風です。そのため、必ずしも完璧に整った画像にはなりませんが、より漫画らしいアナログな表現に近づけるはずです。
今回は、そんな「手描き感」を追求するために改良を重ねた、新しいプロンプトをご紹介します。
🖋 プロンプト解説:「ProMangaLine_16x9」とは?
このプロンプトは、プロの漫画家がGペンで描いたような、繊細かつ力強い線の質感と、映画的な構図を安定して出力することを目指して作成しました。
この「構図テンプレート」は、特に以下の点にこだわっています。
- 手描きの質感:まるでアナログのGペン設定を意識したかのような、「入り」「抜き」や筆圧の強弱を自然に再現し、デジタルながらも温かみのある線を目指します。
- クリアなグレースケール:スクリーントーンや網点を使わず、滑らかなグレースケールだけで陰影を表現。これにより、印刷してもモアレ(干渉縞)が発生しにくく、デジタルでもクリーンな仕上がりになります。
- 映画的な構図:アスペクト比を正確な16:9に固定。これにより、コマの中に映画のような奥行きと視線誘導が生まれ、読者を引き込む構図を作りやすくなります。
商業誌やKindle、ブログなど、媒体を問わず高品質な漫画制作やAIイラスト生成に役立つはずです。
プロンプトはすぐに呼び出せるように、TextBlazeに登録することをお勧めします。

【ProMangaLine_16x9】プロンプト全文
以下のプロンプトをコピーして、お使いの画像生成AI(ChatGPT画像生成など)のプロンプト入力欄の冒頭に貼り付けてください。
masterpiece, best quality, cinematic black and white manga panel illustration,
fine and sharp G-pen line art with natural in-and-out strokes and expressive line weight variation,
delicate yet confident hand-drawn inking (as if drawn by a professional manga artist),
clean outlines with subtle tapering and pressure-sensitive flow,
smooth and balanced grayscale shading (no screentone, no halftone pattern),
pure black, pure white, and soft gray tones only (no texture noise, no color),
balanced and consistent lighting between character and background,
cinematic wide-angle framing with clear perspective and depth,
natural anatomy and proportion, expressive yet calm emotion,
harmonized contrast suitable for professional manga print and digital publication,
uncluttered and refined layout, calm tonal balance,
exact 16:9 wide format composition (no cropping or trimming),
size: 1152×648,
【日本語訳】
傑作、最高品質、映画的な白黒マンガの一コマ風イラスト。
自然な入り抜きと線の強弱が表現された、繊細かつ鋭いGペン線画。
プロの漫画家が手描きしたような、自信に満ちた丁寧なインキング。
線はクリーンで、筆圧に応じた微妙な細さ・太さの変化を持つ。
滑らかでバランスの取れたグレースケールの陰影(スクリーントーンや網点は使用しない)。
純粋な黒・白・柔らかな灰色のみで構成(ノイズや色味なし)。
キャラクターと背景の明るさ・コントラストのバランスが整っている。
明確な遠近感と奥行きを持つ映画的なワイドアングル構図。
自然な人体バランスと穏やかな表情。
印刷・デジタル両方のマンガ媒体に適した調和の取れたコントラスト。
シンプルで洗練されたレイアウト、落ち着いたトーンバランス。
正確な16:9ワイド構図(トリミングや切り取りを行わない)。
サイズ:1152×648ピクセル。
🖋 このプロンプトの強み
- 職人の手描き感:線に筆圧の呼吸が生まれ、温かみのある仕上がりになります。
- 自然なGペン画:モアレの心配がなく、Gペン特有の入り抜きが自然に表現されます。
- 商用レベルの品質:商業誌やKindle連載で使われるような、落ち着いたトーンバランスに近付きます。
- 高い統一感:キャラクターと背景の線のタッチが揃いやすく、印刷時の再現性も良好です。
それでは、このプロンプトを使って実際に漫画のコマを作成してみましょう。
1. キャラクターのいるシーンを作成する
まずは、キャラクターが特定の状況にいるシーンを描いてみます。
今回は、手持ちのアングルシートのキャラの参照画像をチャット欄にアップロードして使用します。
参照画像はカラーでもモノクロでも構いませんが、カラーのほうが上手くいくと感じています。

参照画像はnano bananaで作成した、このキャラクターを使用しました。チャット欄にアップして使用します。
基本の「ProMangaLine_16x9」プロンプトの後ろに、描きたい情景を具体的に指示するプロンプト(日本語)を追加します。

【追加プロンプト(日本語)】
男性キャラ、バイクにまたがる、前輪を正面にあおり構図、ヘルメットをぬぎ髪を整えている、顔を傾け海の方向を見ている、背景は海岸、カモメが飛んでいる、風が強い休日の昼
【生成された画像】

一発生成でこのクオリティです。私の想像とは少し違うし、細かく見ればツッコミどころはありますが、漫画のコマとして十分に使える雰囲気に仕上がっているのがわかります。
2. 同じ画風で背景のみを作成する
次に、同じ画風を保ったまま、背景だけを作成してみましょう。キャラクターを描いたコマと同じ世界観の背景を差し込みたい時に非常に便利です。
「ProMangaLine_16x9」プロンプトの後ろに、「夏のビーチの風景、人物なし」と追加します。「人物なし」と指定することで、意図しない人物が描かれるのを防ぎます。
【生成された画像】

狙い通り、人物のいない美しいビーチの風景画像が完成しました。キャラクターと同じプロンプトをベースにしているので、画風に統一感があります。
ちなみに「夏のビーチの風景」とだけ入れると、こうなることが多いです。
【失敗例】

風景を描くのが目的なのでこれは失敗作となります。
生成AIは非常に優秀で「夏」「ビーチ」とくれば、「水着の女性」と連想して描いてくださいます。

3. 動きのあるシーンを作成する
漫画はやはり動きがないと面白くありませんよね。このプロンプトは、躍動感のあるシーンにもしっかり対応できます。
【追加プロンプト(日本語)】
女性、手を思いっきり振って、満面の笑顔、動きのあるシーン、スピード線、臨場感を出すために上げた手を少しデフォルメして前面に大きく描きましょう
【生成された画像】

漫画の一コマとして、ばっちり使えそうな躍動感のあるシーンが描けました。
【ワンポイントTIPS】
よく見ると、画像の右上に前のシーンにいたはずのカモメが描かれていますね。これは、AIが同じチャット内の会話(前の指示)を記憶しているために起こる現象です。(右のモブキャラも同じ理由)
全く違うシーンを描く場合は、チャットをリセットするか、新しいチャットページを開いてからプロンプトを入力すると、前の画像の影響を受けにくくなるのでおすすめです。
逆に、ストーリーの流れで描く場合は同じページを使うと関連性のある背景が出てくる可能性があると思いますよ。

まとめ
今回は、画風を安定させるための万能プロンプト「ProMangaLine_16x9」をご紹介しました。
これは私が勝手にネーミングしたものです。
- ベースとなる画風プロンプトを固定する
- 描きたいシーンを具体的に追加指示する
- 不要なものは「〇〇なし」と明確に伝える
- 生成を繰り返して画質が粗くなったら、再度ベースプロンプトを貼り付け直す
この4つのポイントを押さえるだけで、AIによる漫画制作のクオリティと効率は格段に向上します。
ぜひ、このプロンプトをあなたの作品作りに役立ててみてください。
「ProMangaLineシリーズ」は、今後も構図別・用途別に拡張するかもです。 どうぞお楽しみに!
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