AIでイラストを作るの、楽しいですよね。思い通りのキャラクターがパッと出てくると、それだけで嬉しくなります。
でも、気づいたら「いつも同じような構図」になってませんか? キャラクターが真正面を向いて、背景がぼんやり…みたいな。いわゆる「日の丸構図」ってやつです。これ、AI初心者の「あるある」ですよね。
実はこれ、難しい理論なんて一切知らなくても、いつものプロンプトにちょっとした日本語を足すだけで劇的に変えられます。特に、私が普段使っているChatGPT-4oやGeminiのような最新AIは日本語の解釈能力がとても高いので、もう英語のプロンプトを無理に使う必要はありません。
この記事で紹介するテクニックは、主にこれらのツールで有効であることを前提に解説を進めていきます。
AIイラストが単調になる?構図で初心者が抱える悩みあるある
AIでイラストを作り始めると、まずその手軽さとクオリティに驚きますよね。でも、何枚か作っていくうちに、ある共通の「壁」にぶつかる方がとても多いんです。
ここでは、まずAIイラスト制作における初心者が直面しがちな、構図に関する共通の悩みについて掘り下げていきます。多くの人が無意識のうちに陥ってしまうパターンを理解することで、改善への第一歩を踏み出しましょう。
気づけばいつもキャラクターが正面向きの「日の丸構図」
AIに「カフェにいる女性」とか「制服の男子学生」みたいに、ざっくりとお願いして画像を生成すると、そのキャラクターが画面のど真ん中に、こちらを向いて立っている。そんな経験はありませんか。

これがいわゆる「日の丸構図」ってやつです。もちろん、キャラクターの顔や服装をしっかり見せたい時には有効な構図なんですけどね。ただ、こればかりだと、どうしても作品全体が単調な印象になってしまいがちです。
伝えたい雰囲気や感情がうまく表現できない
次に多い悩みが、表現の幅についてです。「もっと切ない感じにしたい」「二人の間の緊張感を出したい」と思っても、それをどうAIに伝えたら良いか分からず、結果的にキャラクターの表情を「悲しい顔」や「怒った顔」にするくらいしかできなくなってしまうケースです。

実は、登場人物の感情やその場の雰囲気って、構図、つまりカメラの位置や光の当たり方を変えるだけで、びっくりするくらい豊かに表現できるんです。上の二つの絵も、表情は同じ「笑顔」でも、右の絵の方がずっと物語性を感じませんか?
構図だけでなく、キャラクターの表情も重要です。豊かな表情の作り方は、こちらの記事で詳しく解説しています。

次のセクションでは、この「構図」の考え方について、もっと分かりやすく解説していきますね。
そもそも構図とは?AIイラストの表現力を上げる基本の考え方
構図というと、なんだか美術の授業みたいで難しく聞こえるかもしれません。でも、全く身構える必要はありません。
ここでは、あなたのAIイラストの表現力を格段に引き上げるための、非常にシンプルで実践的な考え方をご紹介します。
構図とはカメラワーク、そう考えると一気に分かりやすくなる
専門用語は一旦すべて忘れて、こう考えてみてください。あなたは映画監督で、AIはあなたの指示通りに動いてくれるカメラマンです。
例えば、あなたが学園ドラマを撮っているとします。クライマックスの告白シーン、ただ男女が向かい合っているだけの映像を撮っても、なんだか味気ないですよね。
ここで監督のあなたの出番です。カメラマンであるAIに、カメラの位置を変えるよう指示してみましょう。決意を固めた男子生徒の顔を、少し下からのアングル、つまりアオリで撮るよう指示したらどうでしょう。彼の意志の強さやセリフの重みが、ぐっと際立ちます。
逆に、告白を断られてうつむく女子生徒を、少し上からのアングル、俯瞰で撮ってみたらどうでしょうか。その場の寂しさや、キャラクターの悲しい気持ちが、言葉以上に伝わってくるはずです。
AIイラストにおける構図とは、まさにこのカメラワークを言葉で指示してあげること。ただそれだけのことなんです。
【比較画像で解説】構図が違うと印象はここまで変わる
言葉で説明するよりも、実際に絵で見てもらった方が早いでしょう。
例えば「雨の日のバス停でバスを待つ人」という同じお題でも、構図が違うとこれだけ印象が変わります。

通常の構図状況は分かりますが、それ以上の物語は感じにくいかもしれません。

俯瞰の構図(上から見下ろす)一人でぽつんと待っている寂しさや、雨の日の少し憂鬱な雰囲気が強まったように感じませんか。

クローズアップ(一部分に寄る)人物の手に握られた濡れた文庫本にぐっと寄ることで、見る人の想像力をかき立てる、物語性の高い一枚になります。
このように、あなたがAIに伝える言葉を少し変えて構図を操作するだけで、一枚のイラストに物語や感情を宿らせることができるのです。
では、具体的にどんな「言葉」を使えばいいのか、次のセクションで詳しく見ていきましょう。
【コピペOK】構図を操る7つの日本語プロンプト集
お待たせしました。ここからは、実際にコピペしてすぐ使える、構図を操るための日本語プロンプトを7つ、具体的な作例と共にご紹介します。いつものプロンプトの最後に付け足すだけで、あなたのAIイラストは驚くほど変わります。
① 状況を伝える基本「ロングショット」と「俯瞰(ふかん)」
キャラクターが「どこに」「どんな状況で」いるのかを、見る人に伝えるための基本的な構図です。物語の導入や、客観的なシーンの描写に役立ちます。
構図の種類 | 日本語プロンプトの例(日常・現代シーン版) | ワンポイント・コツ |
ロングショット | 夕暮れの駅のホームで電車を待つ学生、ロングショットで寂しげに | 「引きの絵で」「遠景で」といった言葉も有効です。「寂しげに」など感情を表す言葉を添えると、より雰囲気が増します。 |
俯瞰(ふかん) | 雨上がりの交差点、傘をさして歩く人々を俯瞰の構図で | 「上からのアングルで」「見下ろす視点で」と伝えてもOKです。街や群衆など、広い範囲を描写するのに向いています。 |
基本の構図が分かったら、次はキャラクターの感情にもっとグッと迫ってみましょう。
② 感情に迫る基本「クローズアップ」と「アオリ」
キャラクターの感情の動きや力強さを強調したい時に使うプロンプトです。見る人の視線を一点に集中させ、強いインパクトを与えたい時に有効です。
構図の種類 | 日本語プロンプトの例(日常・現代シーン版) | ワンポイント・コツ |
クローズアップ | 淹れたてのコーヒーから立ち上る湯気、クローズアップで | 「顔のアップ」「目元のアップ」のように、具体的にどこをアップにするか指示すると精度が上がります。 |
アオリ | 都会のビル群を見上げるサラリーマン、アオリ構図で希望に満ちた表情 | 「見上げる視点で」「下からのアングルで」でも伝わります。「力強く」「ダイナミックに」といった言葉との相性も抜群です。 |
最後に、イラストの雰囲気をガラリと変える、プロっぽい応用技もご紹介します。これらが使えるようになると、表現の幅がさらに広がりますよ。
③ 雰囲気をガラリと変える応用技「ダッチアングル」「逆光」「手前ボケ」
不安定さやドラマチックな雰囲気を演出できる、便利なキーワードです。
構図の種類 | 日本語プロンプトの例(日常・現代シーン版) | ワンポイント・コツ |
ダッチアングル | 真夜中の路地裏、少し傾いたアングルで不安な雰囲気を表現 | 「画面を斜めに傾けて」と指示するのが最も分かりやすいです。ミステリーやホラー、緊迫したシーンで効果を発揮します。 |
逆光 | 夕日が差し込む教室の窓際に立つ少女、逆光で | 「シルエット」という言葉と組み合わせるのもおすすめです。人物の輪郭が美しくなり、ノスタルジックな雰囲気を生み出します。 |
手前ボケ | 手前のコーヒーカップをぼかして、奥に座る人物にピントを合わせる | 「前景をぼかす」とも言います。奥行き感が出て、まるで本物のカメラで撮ったような臨場感が生まれます。 |
【効率UPの裏ワザ】Geminiに構図のアイデア出しを手伝ってもらう方法
キーワードを覚えるのも良いですが、もっと効率的に、楽をする方法もあります。ここでは、AIを単なる描画ツールとしてではなく、「優秀な相談相手」として活用するテクニックをお伝えします。
AIは「描画ツール」から「演出コンサルタント」へ
これまでは、私たちが「監督」として構図を決め、AIは「カメラマン」としてその指示通りに描くだけでした。しかし、最新のAIは非常に賢いので、監督業の一部を手伝ってもらうことも可能です。

つまり、「こういうシーンにしたいんだけど、どんな構図がいいかな?」とAIに相談する、という新しい付き合い方です。これにより、自分では思いつかなかったようなアイデアを得られるメリットがあります。
実践!シーンを伝えて構図を提案させるプロンプト例
実際にGeminiやChatGPTに、次のように相談したとします。
放課後の教室で、高校生の男女が二人きりで話しているシーンを表現したい。少し気まずいけど、どこか期待しているような、そんな空気感にしたいです。このシーンに合う構図のアイデアを3つください。
するとAIは、以下のようなアイデアを返してくれるでしょう。
- 窓際からのロングショット 逆光に照らされる二人のシルエットを少し離れた位置から捉え、静かな緊張感と、世界の中心に二人だけがいるような特別な雰囲気を演出します。
- 机越しの視点 男子生徒の視点から、目の前の机を挟んで座る女子生徒を撮ることで、二人の間の物理的な距離と、もどかしい心理的な距離感を表現します。
- 手元のクローズアップ 会話が途切れた瞬間の、女子生徒がスカートをぎゅっと握りしめる手元や、男子生徒が弄ぶシャープペンシルなどをアップにすることで、セリフに頼らない感情表現を狙います。
どうでしょう。自分でゼロから考えるよりずっと効率的ですよね。気に入った案を、そのままプロンプトにすればOKです。
構図が決まったら、次は何度も同じキャラクターを描き出すテクニックも学びませんか?キャラクターを固定する方法はこちら。

まとめ:日本語プロンプトを覚えてAIイラストの表現をもっと自由に
今回は、AIイラストの構図を日本語プロンプトだけで変える基本的な方法と、AIを相談相手にするという少し変わった使い方をご紹介しました。
難しく考える必要は一切ありません。重要なポイントは以下の3つです。
- 構図は「カメラワーク」と同じで、決して難しいものではない。
- 日本語のキーワードをプロンプトに足すだけで、イラストは劇的に変わる。
- 面倒なら、構図のアイデア出しそのものをAIに相談してしまえばいい。
まずはこの記事で紹介したプロンプトをどれか一つ、コピー&ペーストして試してみてください。きっと、今までとは違う「おっ」と思える絵が出てくるはずです。
AIでの創作は、もっと自由で、もっと効率的でいいんです。
さて、今回学んだ構図の基本を活かして、さらにステップアップしてみませんか?次のステップとして、より高度なテクニックを解説した記事も用意しています。

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