「ChatGPTで漫画のストーリーが作れるらしい」
そんな噂を聞いて、実際に使ってみた人も多いのではないでしょうか。
私もそのひとりです。
たしかに、話の展開は驚くほどスムーズに出てきます。
けれど、そこで終わってしまう。
ストーリーはあるけど、漫画にできない。
そんな経験をしたのは私だけではないはずです。
この記事では、ChatGPTなどのLLMを台本生成ツールとして活用し、
漫画に使えるストーリーの土台=段本(だんぽん)をどう作るかに焦点を当てて解説します。
実体験をもとに、流れの作り方・構成の整え方・段取りの工夫まで、
描ける物語へと整えるステップをわかりやすく紹介します。
「アイデアはあるのに、漫画にならない」
そんな悩みを抱えるあなたのヒントになれば嬉しいです。
キャラの感情を漫画でしっかり伝えるには、表情の描き分けも大切です。

なぜストーリーがあるのに漫画にできないのか?
これは私自身の実体験に基づいた考えですが、
漫画づくりでつまずく理由の多くは「話の流れ」だけで完結してしまっていることにあります。
話の流れだけでは漫画は描けない理由
たとえば、ChatGPTが出してくれたストーリー。
一見ちゃんとまとまっていて、「よし、これで描けそう」と思うのに、
いざ描こうとすると手が止まってしまう。私も何度もそうなりました。
コマに必要なのは具体的な構成
なぜなら、漫画に必要なのはプロットではなく、各コマで何が起きて、誰がどう言うかという具体的な構成なんです。
この視点は、世の中ではあまり語られていないように感じます。
だからこそ私は、セリフと動き=コマの設計図を先に考えるようにしています。
ストーリーは方向性、大事なのは見せ方
ストーリーの流れはあくまで「方向性」であって、
漫画として形にするにはどんな感情をどう見せるかのほうが重要です。
この章では、そうした私のやり方と、その考えに至った経緯をご紹介します。
どうすれば「描けるストーリー」になるのか?
段本という考え方を軸にすれば、ChatGPTの出力を描ける台本へと変換することができます。
ただし、それには「プロット→段本→ネーム→漫画」という流れを意識する必要があります。
この章では、プロットを作るところから段本に落とし込むまでの一連の流れを、実際のプロンプト例とともに紹介していきます。
ストーリーに命を吹き込むには、キャラの個性も欠かせません。

段本(だんぽん)という考え方とは?
段本(だんぽん)とは、ストーリー全体の流れではなく、「このコマで誰が何をして、どんなセリフを言うのか」をざっくりと書き出したコマ単位の台本のことです。漫画のネームに近いイメージですが、ラフな設計図という点で、もう少し自由度の高い工程だと考えています。
いわば「脚本」と「段取り」を組み合わせたようなもので、頭の中でぼんやりしていたシーンを描ける単位まで具体化するための橋渡し役です。
※段本とラフの違いについて
段本は「文字による設計図」、ラフは「絵による下書き」。段本は“何をどう描くか”をセリフや動きで整理した台本のようなもので、ラフはそれを実際に絵として起こす準備段階です。
プロットや起承転結を先に整えるよりも、私は「各コマで何が起こるか」を先に考えるようにしています。これが、私が実践している段本(だんぽん)というスタイルです。
これがあると、構図やキャラの演技、表情の作成がとてもスムーズになります。
作りすぎない段本がうまくいく理由
私の経験上、段本は「ざっくり」くらいがちょうどいいです。
詳細に作り込みすぎると、1つの変更が全体に響いてしまい、修正が大変になります。思いつきや流れの変化に柔軟に対応するためにも、緩く設計するのが大切です。
これは、私が何度も立ち止まって気づいた教訓です。
セリフを起点にした段本づくりの考え方
なぜ私はセリフを起点に段本を作るのか?
私はよく、先に「このコマでこのセリフを言わせたい」と決めてから、コマの構成を考えます。
なぜなら、読者の心に残るのは展開よりもセリフだからです。
印象に残るセリフから考えると流れが生まれる

セリフを軸に考えると、キャラの動きや背景、間の取り方まで自然に決まってきます。ChatGPTにセリフ案を出してもらうときは、たとえば以下のようなプロンプトが使えます:
・夕焼けの河川敷で、別れを切り出すキャラのセリフを考えて。
・雨の中で立ち尽くすキャラに、対話相手がかける救いの言葉を出して。
・日常のささいな会話から、友情がにじみ出るようなセリフをいくつか。
セリフをもとに情景・演出を整える
「このセリフを使いたい!」と思えるものが出てきたら、そこを起点にどのようなシチュエーションで言わせるかを考えていきます。
セリフから逆算することで、場面構成・キャラの感情・演出の方向性が一気に具体化されていきます。
セリフ中心の段本を作る具体的な手順
ここからは、セリフを中心に段本を組み立てる方法を、ChatGPTのプロンプト例とあわせてご紹介します。
プロンプトの例は意図的に幅広く設定するのがポイントです。同じようなシチュエーションだけでなく、感情の動きやセリフの背景に変化をつけることで、物語の幅が広がります。
1. プロットを用意する
まずはあらすじや展開の方向性など、大まかなプロットをChatGPTに考えてもらいます。これは段本のベースとなる部分です。
2. セリフから場面を構成する

セリフを軸にコマを構成する際は、次のようなプロンプトが役立ちます:
・内向的な女子高生が、学校の屋上で初めて本音を口にするシーンのセリフを考えて。
・親友と喧嘩してしまったキャラが仲直りする場面のセリフをいくつか出して。
・このセリフに感情の揺れを加えてみて:「…もう話しかけないで」
「このセリフを使いたい!」と思えるものが出てきたら、そこを起点にどのようなシチュエーションで言わせるかを考えていきます。
セリフから逆算することで、場面構成・キャラの感情・演出の方向性が一気に具体化されていきます。
描ける物語をChatGPTと一緒に
漫画を描くのは、ただストーリーを思いつくだけでは完結しません。
実際に「どう描くか」「どんな順序で何を見せるか」を決める必要があり、その段取りをサポートしてくれるのが、今回紹介した段本という考え方です。
ChatGPTを活用すれば、ただの思いつきが描けるストーリーへと変化していきます。
でも大切なのは、そのまま使うのではなく、自分なりの組み立てで物語を育てていく姿勢です。
失敗しない段本設計・3つのヒント
- セリフを軸に構成すること:感情が伝わる言葉を起点にすることで、構図や演出が自然に決まります。
- 作りすぎないこと:細部まで決めすぎると柔軟性が失われ、変更に弱くなります。
- プロットからコマ単位へ落とし込むこと:段階的に整理することで、漫画化への道筋が明確になります。
実際に使える!段本作りに効くChatGPTプロンプト例
- シーン別セリフ生成
例:「バイトの帰り道で、夕暮れの商店街を歩くキャラの一言を考えて」 - 感情変化のある会話
例:「親友と仲直りするまでの3つのセリフを順番に」 - 行動・演出込みの指示
例:「図書館で緊張しているキャラに、声をかける場面のセリフと動作を描写して」
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